番台スパークス

ここんとこ、でんぱ組.incの「でんでんぱっしょん」という曲に異様に持っていかれています。

今はちょっと落ち着いてますが、ひと月程前に最初にこの曲を聴いてから後の1週間はやばかった。
ここまで1曲リピートし続けた曲は、どこまで記憶を掘り起こしてもちょっと見当たらないってくらいに。
脳内再生も勘定に入れたら1週間で300回以上再生したんじゃなかろうか。
にも関わらず、およそ自身で把握している自分の音楽的嗜好に合致するところのあまりないこの曲の何にそこまで魅かれているのかうまく言語化できずにいて、あえて理由付けをしてもどうも後付感があるので、最近はとりあえず脇に置いておくことにしました。

で、これを契機にちょっとアイドルソングを聞きかじったりして、分かってはいたけどJ-POP特有の楽曲構造について再認識。

Aメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→(Cメロ)→サビ みたいな。

90年代のJ-POPがほとんどこの定型に収まっているのは認識してましたが、今でもやっぱりそうなんですね。「でんでんぱっしょん」も然り。


楽曲構造といえば、70年代初頭にロバート・ワイアットがやっていたマッチングモールというバンドに、「Signed Curtain」という曲がありまして、これが大好きなのですが、
歌詞を意訳するとこうです。


「Signed Curtain」


ここが一番のAメロ
ここが一番のAメロ
一番の、Aメロ


そしてここがサビ
あるいはBメロかも
あるいはこの曲の別のパートか


ここが二番のAメロ
おそらく最後のAメロ


そしてここがサビ
あるいはBメロかも
あるいはまた別の転調


気にしないし
悪くはない
つまり君に届く役に立たないから
僕はもうこの曲を信じないってこと

こんな感じで、要はこれ楽曲の構造を実況中継しながら歌ってる訳です。
こういうメタな視点を持った作品が好物でして。

で、この曲を聴いててもはっきりサビといえる程大きく盛り上がるメロディーは登場しないんですね。
ロバート・ワイアット自身も歌っているように、サビなのかBメロなのか何なのかはっきりしないっていう。
この曲に限らず、自分の知っている範囲で主に欧米のキャッチ―なメロディーを持った曲を思い起こしてみても、J-POPで主流の3つ以上のメロディーパートのある曲ってかなり少ない気がするのです。Bメロってあんなりない。

「でんでんぱっしょん」を知るきっかけとなったライターの柴那典さんのブログでも掘り下げて議論されているところですが、こういう割とまどろっこしい楽曲構成にポップネスを感じる感性というのはドメスティックに発展したものってことでしょうか。


「浮世絵化するJ-POPとボーカロイド」のその後の話。あと、6/17に下北沢でトークイベントやるってよ。


翻って自分が今まで作ってきた曲を見直してていくと、所謂J-POP的構造をきちんとたどった曲というのが僅かに2曲しかなくて、かろうじてAメロ・Bメロ・サビという3つのメロディーパートが含まれる曲も5曲くらいしかないことに気が付きました。
手ぐせといえばそうだし、構成能力のなさでもありますが、こういうJ-POP的な構造って曲がドラマチックになり過ぎるきらいがあるし、背後にあるカラオケ文化的なものに対する近親憎悪みたいなものもあり、あえて避けてきたようなところがあります。
ところが、ここのところこれが一周して面白いなぁと思えるようになってきたりして…。

で、そんな曲を作ってみたりしていたところにタイミング良くライブのお誘いをいただきまして。以下。


「第2回ふろ本市@錦湯 〜男湯本、女湯本〜」

とき:2013年7月13日(土)、14日(日) 11〜17時
ところ:元銭湯の錦湯(中京区丸太町寺町下る・丸太町御幸町下る)
詳しくはコチラ


去年行きたかったけど行けなかったイベントなので普通に何もなくても行こうと思ってましたが、
13日(土)、これの「番台BGMライブ」という枠で演らせていただくことになりました。時間は未定。

「BGM」なので、さらっと聞き流せる感じでやりたいなぁと思ってるんですが、J-POP的楽曲って多分BGMにはなりにくいんですよね。押しが強すぎて…。

ということでまだノープランですが、楽しそうなイベントなのでお誘い合わせの上どうぞ。もちろん入場無料です。